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日本語教育

ヴィゴツキーの文字指導の考え方~いつから始める幼児期の文字教育~

投稿日:2016年12月22日 更新日:

いつから子供に文字を教えればいいのでしょうか?

  • どうせ学校で習うんだから教えなくても自然に覚えるでしょ?
  • いやいや、いまどき小学校入学までには『あいうえお』くらい読んで書けるのは普通でしょ?うちの子だけ分からなかったらかわいそう。
  • 興味があればちょっとは教えてもいいんじゃない?
  • いやいや、逆に文字を教えない方が想像力豊かな子になるんだから小学校に入るまで教えてはダメよ!

などなど、子どもにどこまで文字を教えるか、
いろんな意見が飛び交い、
ホントのところどうすればいいのか
疑問だらけですよね。

 

今日は、

『幼児の文字教育』 しおみ としゆき 大月書店

から、ソヴィエトのL・S・ヴィゴツキーが
考える幼児の文字指導について
引用したいと思います。

 

➣ヴィゴツキーの警告

文字指導はいつから始めるべきかについて
論究した論文の中で、ヴィゴツキーは、
イタリアの有名な幼児教育の実践家、
M.モンテッソーリの行っている文字指導
について言及しています。

モンテッソーリは、
彼女の幼稚園の子どもたちに
4歳から文字を描くことを教えました。

その方法は、いろいろな細い線を描く
練習をいっぱやりながら

ーということは
文字を書く前に線を描く準備をしながらー、

それを文字書きへと一挙にもっていく
というやり方でした。

実際こういう練習をしたあと、
4歳児で1か月半で文字を書くことが
出来た子どもも出てきました。

モンテッソーリは、
読む前に描くことを教えることによって、
まず文字を書けるようになり、
同時に読めるようにもなるという
独特の指導方法を開発したわけです。

ところが、ヴィゴツキーは、
モンテッソーリが4,5歳の子どもにも
文字の読み書きを教えることが可能だ
という事を示した点では評価できても、
その指導の内容には大いに問題があると批判しました。

ヴィゴツキーはその例として
モンテッソーリのようちえんの
子どもたちの作文を紹介しています。

「私たちは、タラニー牧師さんと
モンテッソーリ園長さんに
復活祭のお祝いを言います。」

「校長先生、先生、それから
モンテッソーリ博士の
しあわせをいのります。」

これらは明らかに教師によって
示唆されたきまり文句のような文章です。

子どもの心から自然と湧いてきた
表現とはとても思えません。

ヴィゴツキーはその点を問題にして、
「私は、就学前における読み書き教育の
可能性を否定はしない。

私は、読み書きがすでにできるように
なった子供が学校へ入学するのが
望ましいことだとさえ考えている。

しかしその時は、
読み書きが子どもに何かで
必要となるように教授を
構成しなければならない。

もしそれが、目上の人に対するおきまりの
挨拶や手あたり次第のそれも明らかに
教師によって示唆されたことばを
書くためだけに用いられるようであれば、

読み書きの仕事が純粋に機械的な手段となってしまい、
子どもをすぐにあきさせ、
子供の積極性がそこで発揮されず、
元気をとりもどした子供人格が
成長することもないだろうということは、
明らかである。」

と述べています。
そして、

「子どもに書き言葉への欲求が熟し、
書き言葉が子どもにとって必要となる以前に、
子供に書き方のテクニックが与えられるという意味では、
6歳であるいは8歳ですら文字を教えることは
時期尚早である。」

 

「綴り字は子供にとって
生活上どうしても必要な課題の中に
含まれなければならない、

その時に初めて我々は、
綴り字が手や指の習慣としてではなく、
実際に新しい複雑なコトバとして
子どもに発達していく事を
確信することが出来る。」

(ヴィゴツキー『子供の知的発達と教授』明治図書)

ヴィゴツキーは、子供のなかに文字を
切実に必要とするような気持ちが
育っていないのに読み書きのテクニックだけが
教えられても、

それによって子どもの人間性が
新しく開発されていくようなことには全くならず、
かえって逆に、かくことをつまらないことに感じさせたり、

そこで想像生を発揮してその子らしい表現を
生むことから疎外させてしまったりしてしまう。

だから一番大事なことは、
子供に文字(書き言葉)を
使いこなす欲求を育てる事であり、
それが育っていない場合は何歳であっても
文字指導を始めてはダメだと言っているのです。

文字指導の開始期は年齢で決まるのではなく、
その子に文字を使って何かを読んでみたい、
書いてみたいという意欲がある程度
育っているかどうかで決まる、
というのがヴィゴツキーの提言であり、
モンテッソーリはそこを無視しているという訳です。

これは、文字指導の在り方を考える時の
きわめて分かり易い視点であり教訓であるということが
出来るのではないでしょうか。

引用ここまで

 

つまり、

子どもたちの文字学習には

子どもたちにとって書く必要性があることと

そして書く欲求が必要だというわけです。

 

周りの大人は単に形式的に

子どもたちが文字が読める書けるということを

目的とするのではなく、

それ以前に子どもたちの文字を読む、

書くことへの動機を上手く育ててあげることが

重要だということでしょう。

 

簡単そうで難しい

でも難しそうで、実は簡単だったりもする

 

子供たちの意欲を育てる・・・

 

やはり、本当の血や肉となる教育のベースはそこに

ありそうですね。

 

では、どうしたら子どもたちの意欲って育つのでしょう?

 

次回は、子どもたちの意欲を育むにはどうする?

というタイトルでお伝えしたいと思います。

-日本語教育

執筆者:


  1. しらかわ より:

    はじめまして。

    3歳児をもつ43歳の男性です。

    今回の記事を読んでいて、大人の都合を押し付けることが教育ではないということが、よく分かりました。

    遊んでいる時でも、「子供のため」と言いながら、実は自分のために口出ししている場面があったと思い起こします。

    私の子はハーフではありませんが、色々と示唆に富む記事が多く、参考にしたいと思います。

    ありがとうございました。

    • donguru より:

      しらかわさん、はじめまして。マガンニャです。
      コメントありがとうございます。

      「子供のため」と言いながら、実は自分のために口出ししている場面・・・

      ありますあります。なかなか理想通りにはいかない時もありますが、
      言動に少し気を付けたり、意識したりするだけで育児や教育は
      随分変わるものですよね。

      • しらかわ より:

        ご返信ありがとうございます。
        子供は私が思っている以上に、親の言動を見ているようですので、意識していきます。

        また、よろしくお願いします。

        • donguru より:

          子供達、よく見てますよね~。
          こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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