どんぐり問題は理解と思考を育てるためにすごく
良く仕組まれている問題ばかりなのですが、
のうさぎさんの冷蔵庫問題は、
みんなが引っかかってしまう面白い問題なので、
今日はそれをご紹介します。
のうさぎさんの れいぞうこのなかに きのうのよるまで
にんじんが 17ほん ありました。ところが、
きょうは8ほんしか ありません。
だれかが よるのうちに たべてしまったようです。
では、にんじんを たべた うさぎが 3びきで
3びきとも おなじかずの にんじんを たべたとすると、
1ぴきにつき なんぼんのにんじんを たべたことになるでしょうか。
どこでみんな引っかかってしまうかというと、
8本残っている絵までは描けます
そのあと、何故かみんな、8本を3匹に分けようとします。
8本を3つに分けても1つ足りません。
ですから、子供達も、何かがおかしいということには
気が付くのですが、何がおかしいのかまで分かりません。
さて、
どうして、8本余っている人参と、
昨日食べられた人参を混同してしまうのでしょう。
そして、どうすれば解決できるのでしょう。
間違っても、
「ほら、余ってるのが8本でしょ?」
などと、ヒントを出してはいけません。
解決策はただ一つです。
問題に書かれている状況を丁寧に描写するように促すこと。
答えを出そうと急がないことです。
「8本余っている。」
この8本だけに反応して、即座に3つに分けて答えを出そうとする
この淡々とした作業的なプロセスに問題があります。
そこには、理解も思考もありえません。
理解や思考は、1+1=2 のようなパターン化された
暗号のようなものではありません。
理解と思考とは、バナナが2本ありました。と聞いたときに、
うちは3人兄弟だから1本足りないと喧嘩になるな。
どうやって分けようかな?
というところまで、
想像が膨らむようなものなのです。
いかに問題の行間を読んで、
ストーリーを楽しめるか否かにかかっています。
場面や状況設定をどれだけ良く
イメージできるかにかかっています。
「8本余る、その他は食べられた。」
この部分、分かっていそうで、実は状況が上手く
描写出来ていない(理解できていない)ために、
???となるわけです。
昨日の夜にうさぎさんの冷蔵庫の周りで起こった事件を
詳しく詳しく描写することが解決の鍵です。
そう、やってきたのは、腹ペコうさぎか、海賊うさぎか?
どんな顔をしていて、何が起こったのか
楽しくイメージを膨らませることが大切です。
描写がはっきり具体的に出来ると気づきます。
絵の中に答えが見えるからです。
見える=分かる なのです。
先週頂いたメッセージの中に、
「最初はお絵描きだけで
答えを見つけなくていい、というのがどうも難しく、
毎回、ああ、今回もダメだった(親のあり方が)
と自分に失望している現状です。
ヒントを出さないでいるのが
なんとも難しいことか・・・。」
と、ありましたが、
お絵描きだけでいい、答えを見つけなくていい、
という理由はここにあります。
お絵描き(楽しく丁寧に状況を描写する力)の
プロセスそのものが理解力そして、
思考力の土台だからです。
ですから、単に答えをだそうと躍起になることが
どんなに無味乾燥なことで、また結局は理解力を付ける遠回りを
しているということに気が付かなければいけません。
特にどんぐり問題を始めたばかりの年長さんや
1年生頃の子供達は話が脱線してもいいから、
楽しくお絵描きすることが重要ですが、
それは、詳しく描写する(理解力をつける)ことを
習慣づけるのに絶対必要なことだからです。
そして、楽しく取り組むためには、ゆっくりとした時間が必要です。
「ほら、~に間に合わないから早く描きなさい。」
という状況では、いつまでたっても理解力や思考力はつきません。
理解力や思考力はチャチャっとつけられるものではなく、
じっくり、ゆっくり、丁寧な中で育まれるものだからです。